公開ゼミ雑記

 人文学部では1986年から地域貢献の一環として、毎年、秋以降に「公開ゼミ・公開講座」を開講しています。

 「公開ゼミ・公開講座」のうち、前者は比較的少人数(原則20名まで。)、そして3回分行われるもの、後者はゼミよりも大人数(人数制限は設けていません。)で、1回で完結するものです。どちらも毎年4月以降にゼミおよび講座の募集を教員に呼びかけます。1年あたりの開講数は10前後を予定しており、応募状況によっては、担当者が研究室を個別訪問して開講をお願いすることもあります。そうしてある程度開設予定が明らかになった段階で、チラシの発注、発送作業に入り、8月1日から各開講日の5日前まで先着順で参加申し込みを受け付けています。「申し込み者が3名未満の場合は開講しない」ことがあるため、各担当者が実際にゼミや講義を実施するのか判明するのは、参加者名簿などが届けられる開講3日前になることもあります。

 毎年の様に「公開ゼミ・公開講座」に参加してくださる市民の方も少なくありませんが、私の様に、毎年開講するわけではない者にとっては、通常の大学生相手の講義開始初日以上に、公開ゼミおよび講義の初日は緊張するものです。ちなみに、統計としては、例年、参加者の大半は60代以上ですが、企画側としては、60代以上の方を含む、幅広い年齢層の参加を期待しております。開講時間が合わない等の理由があると思われますが、個人的には30代から50代くらいの女性の参加がもう少しあると、老若男女の受講者という感じで理想的だと思うこともあります。

 さて、今回、私は、"「性犯罪厳罰化」の内容を検討する"というテーマで1つの公開ゼミを担当しました。例年、10月以降は、指導学生の卒業論文の指導に躍起になっていることが多く、秋から冬にかけて行われる「公開ゼミ・公開講座」を引き受ける余裕はなくなっています。今年も別に余裕があるわけではないのですが、開講するに至った理由は、地域連携担当の広報・地域連携委員会の委員長を務めていることもあり、1度、やってみよう、と思ったからです。その他、昨年度から放送大学の講師として年に1度(連続した土日)、市民向けの講義を担当していることや、指導学生が卒業論文のテーマとして性犯罪を選択した際に指導上ある程度の知識が必要なこと、そして何よりも、昨今話題となっていた性犯罪の厳罰化の議論について、現時点での到達点を確認する必要があると考えていたことも理由です。ただし、テーマがテーマだけに参加者不足による不開講になるのではないかと思っていました。

 9月下旬、参加者が3名を越えたことを知り、ゼミの準備を進めるとともに、参加者の性別の内訳が男性に偏っている(参加申し込み11名中、女性は1名)こともあって、現在進行形で性犯罪被害者支援について卒論を執筆中のゼミ生たちにも参加を呼び掛けました。

 テーマ内容から1回では十分に話しきれないだろうと思ったこと、ゼミ時に受けた質問などから次回以降の内容を微修正できるのではないか、また、3回もあれば、最後の1回は時間の半分位を使って参加者間でディスカッションができるのではないかと思っていましたが、話したい内容を絞り切ることができず、ディスカッションの時間は30分弱しか確保することができませんでした。それでも、ゼミ担当者としては、参加者の感想や意見を聞くことができるよい機会となりました。参加者のアンケートには、もっと話す時間が欲しかった、あるいは配布資料が多すぎた(字が小さすぎた)といった回答がありました。来年、私がゼミあるいは講座を開講するかどうかはわかりませんが、いただいたご意見はしっかりと記憶しましたので、機会があれば改善したものを提供できればと思っています。

 丁度、ゼミ開始の少し前、9月12日に法制審議会が性犯罪の構成要件などを見直す法改正の要綱を採択して法務大臣に答申を行ったというニュースが流れたこともあって、公開ゼミそのものというよりも、性犯罪厳罰化を検討するというテーマに関心をもっていただいた新聞記者の取材の申し込みを受けました。ゼミの受講者に迷惑がかからないならば、という条件つきで、ゼミの初日に取材を受けましたが、取材していただいた記事は、公開ゼミ終了後の10月20日(朝日新聞朝刊 三重地方版)に掲載されていました。新聞記者の方、また、公開ゼミの受講者の方、ご協力どうもありがとうございました。

 学生と同じ教室を会場にするため、授業の空き時間に設定しなければならないなどの理由で時間や場所に制約があったり、受講者のリクエストに沿ったテーマや形式が採用されづらい、といった課題がありますが、需要がある限りは、今後も「公開ゼミ・公開講座」はできるかぎり継続していくと思われます。皆様のご理解と参加をお待ちしております。

2016年10月 (法律経済学科 田中亜紀子)