第1回「立川文庫とその類作」(後期)

「立川文庫とその類作」要旨

吉丸雄哉

 

今回の講演「立川文庫とその類作」では、大正期にたくさん刊行された立川文庫など縦12.5糎横9糎のクロース装(布装)講談本について話しました。明治44年頃に登場したクロース装講談本はそれまでの菊判講談本に比べて小型にもかかわらず字数が多く、立川文庫の成功もあって、他の出版社からも多くの追随作が出ます。しかし粗製濫造・供給過剰におちいり大正6年頃を境に全体的に新刊が少なくなり、昭和初期には、より安価な色刷表紙A6版の講談本にとって替わられます。
足立巻一『立川文庫の英雄たち』(文和書房、昭和55)以降の立川文庫研究では、四代目旭堂南陵の研究により、書誌学的な解明が進み、出版年表もより詳細になったほか、「旧本に3銭で新刊と交換」ではなく「旧本に3銭で古本と交換した」ことがわかりました。また旭堂南陵・高橋圭一らの研究により猿飛佐助の玉田玉秀斎独創説が訂正されました。基礎資料として重視されてきた池田蘭子『女紋』(河出書房新社、昭和35)に事実といえない部分もあることがわかり、玉田玉秀斎が孫悟空を猿飛佐助のモデルにしたという説も疑いの余地があることを話しました。

 

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