人文学部
人文社会科学研究科

研究

第5回「古武術的身体操法」(前期)

古武術的身体操法」要旨

脇田裕久

本講座では、1)体の仕組みと素早い動きの関係。2)前進動作では、一般的な「蹴り動作」よりも脱力による重力を利用した「抜き動作」が腓腹筋の活動量を減少させ、水平分力が増大するため動作時間が短縮する。3)歩行動作の接地では、「抜き動作」が「蹴り動作」よりも水平分力の制動力と推進力が小さく接地時間が短縮した動作である。4)反応動作では、「抜き動作」が「蹴り動作」よりも動作開始が早いにも関わらず筋活動を遅らせることができるため様々な状況に対応可能な動作である。5)重量物を持ち上げる動作では、「井桁動作(膝関節を脱力しながら物を持ち上げる)」が「ヒンジ動作(肩関節のみで持ち上げる)」に比較して肩関節の角速度が速く、肩関節に負担のかからない動作である。6)押し動作では、「抜き動作」を使うことで脱力中に体重が前方に加わり、さらに伸張反射による筋活動が加わることによって「蹴り動作」の1.6倍の力が加わる。7)気合を掛けると、脳幹からノルアドレナリンが分泌され、最大筋力が増大し、反応時間が短縮すること等を説明した。以上の事象を通して、身体各部を脱力して重力を利用した動作は、筋に負担をかけずに素早く効率的になることを受講者に伝達した。

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動画(部分)

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