第1回「忍術書に記される道具」(後期)

「忍術書に記される道具」要旨

山田雄司

 『万川集海』には、忍びが用いる道具すなわち忍器として、登器、水器、開器、火器に分類して、さまざまな道具について絵とともにその製作法などが記されているが、この他にもさまざまな道具があった。本講演ではそのうち水器に着目した。
 一般的に水蜘蛛は足に履いて水の上を歩く道具だと思われているが、それは藤田西湖によって水蜘蛛の中心の板に鼻緒が描き加えらて以降、そのように解釈されるようになったもので、実際には腰の周りに浮き輪のように使用したと考えられる。そして、そのときには水掻きを用い、合わせて浮き具を身につけていた可能性を指摘した。その様子は大森正富著・歌川国芳画『武道芸術秘伝図会 砲術・士筒之部』などに見られる道具から類推した。
 また、潜水のための道具もあり、『水鏡』には、刀の小尻に小さな穴をあけ、鯉口をくわえて息をすることが書かれていたり、中島篤巳氏が紹介した「息袋」(『窃盗之秘書』)には皮で作った息袋を口にくわえて、鼻にも管を入れるように記されているが、どちらもこのまま用いるのは困難で、さらなる道具と熟練が必要だと思われる。忍びが実際に水練をしている史料や、熟達した忍術使いが名古屋城の濠に潜っている史料があることからも、忍びにとって水術は身につけておかねばならない術の一つだった。

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