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盛山法務副大臣講演「法の支配と法務行政」を聞いて

7月7日に行われた盛山法務副大臣講演「法の支配と法務行政」に出席した学生からのレポートをいくつか紹介します。

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 アメリカ・フランス・ドイツ・イギリスなど様々な国の法律の成立の歴史について、そして、日本の法治国家となるまでの歴史のお話が前半にありましたが、わたしはそのあとの日本が行った他国への法律制定のさまざまな支援に関する話に興味をもちました。

 私はこれまで法務省がどのような仕事をしているのか全く知らず、日本の法律の改正など日本国内にかかわることのみを行っていると思っていたのですが、今回の話を聞いて他の国にも影響を与える仕事をしているのだと知り興味を抱きました。講演の後で法務省についてもっと知ろうと、ホームページで調べたところ、ベトナム・カンボジア・ラオス・中央アジア・モンゴル・インドネシアなど約11か国への活動をしていることを知りました。例えば、インドネシアでは、裁判所における和解・調停制度に関する最高裁判所規則の改正支援、調停人養成に必要な仕組みの改善支援、裁判所における和解・調停制度の広報支援を内容とする和解・調停制度強化支援プロジェクトを行ったそうです。日本には当たり前にある、この裁判所における和解・調停制度がほかの途上国になかったのだと改めて知ったことと同時に、日本の制度を活用して他の国を支援していることでその国がよりよくなっていることがあることを知り、法務省の活動には大きな意義があると感じました。

 また、副大臣が最後におっしゃっていた将来、5年後、10年後、自分がどうなっていたいか、何をしていたいのか考えた上で今自分は何をするべきなのか考えてこの大学生活を過ごすべきだという言葉に感銘を受けました。大学時代は人生の夏休みとよく言われますが、この夏休みをどのように過ごすかが社会人になった時の差になると思います。さまざまな人と関わり、楽しむことも大切だと思いますが、私が他の人よりこれはできるという強みを手に入れなければならないと思っています。そのために、私が極めるべきことは何か考え、その何かを決めたからには精一杯それを極めるために力を入れていきたいと感じました。大学生のうちに自分の自信となるものを作れるよう、卒業するまであと2年半、限られた時間を無駄にすることなく有意義に過ごしていきたいと思います。  (法律経済学科2年生 I.Y

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 今回の講義の内容である「法の支配」については、高校生で学んだため知っていたことが多かったが、改めてそれについて考えられたため良かった。ただ、欲を言えば、もう少し法務省に関する話や、法に携わる仕事をしている副大臣自身の話など、他では聞けない話をもっと聞きたかったと思う。

 講演の中では、国際社会について関心があるため、最も気になった話題は「国際社会における法の支配」である。そこで、この講義を聞いた後、国際社会における法の支配について外務省のホームページで調べると、今回の講義でも聞いた話ではあるが、日本は新しい国際法規範の形成や法整備などを通じた各国国内における法の支配の強化2も貢献している、と記載されていた。そもそも法の支配とは、全ての権力に対する法の優越を認める考え方であるから、法が確実なものでないといけないと、私は考える。

 また、国際社会の法の支配について考えたときに思い浮かんだのが、アメリカのトランプ大統領である。4月におきた、化学兵器によってシリアの民間人が死亡したことを受けてアメリカのシリアへのミサイル攻撃に関して考えた。紛争は、法の支配の考え方に基づくと、力や威圧ではなく、法に基づいて解決しなければならないとある。この事件において、学者も、シリアのアサド政権が化学兵器で民間人を殺害したという確実な証拠はないといっているし、もし仮に確実であったとして法の支配から考えてもいけないことだと思う。アメリカは、世界中でもトップの国として、平和のために最重要な法の支配を体現しないといけない存在であり、そのような行動が、国際法秩序に甚大なダメージを加えたと感じる。詳しいことはまだ勉強していないから分からないが、とにかくトランプ大統領は法の支配を壊す人物だと感じた。そこで、どうして講義の質疑応答の時に、トランプ大統領と法の支配について思い浮かばなかったのだろうと思う。そうしたら盛山さんの意見も聞くことができたかもしれない。

 ここまで、私が興味を持ったことに関して考えてみた。私は、国際関係のゼミを専攻し、日韓関係や、ヨーロッパの関係について調べたいと思っていた。だが、この授業を受けた事によって法の支配や国際法秩序に基づき、広い視点で国際関係を考察できると感じた。

 余談ではあるが、随行者の存在に驚いた。法務省の副大臣にもなると、やはり違うのかと感じた。私は、法務省や、法を操る弁護士や検察などには興味もないし、それに言うまでもなく手に届く仕事ではないので、生きている世界が違うと思った。だが、質疑応答での副大臣の身の上話などを聞いているととても気さくで、非常に面白かった。  (法律経済学科2年生 Y.Y

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今回の盛山法務副大臣による「法の支配と法務行政」に関する講演会で、私が最もこれからの大学生活に生かせると感じたことは、今回の講演の進め方でした。私は最初、今回の講演があると知ったとき、法務副大臣の経験を、いわゆる武勇伝のような方式で語っていくものだと思い込んでしまいましたが、今回の講演は学問的なことからこの機会にしか聞けないことまでしっかりと学ぶことができました。特に何を学ぶことができたかというと、学問的なことで言えば法の支配、特に歴史的に見た法の支配の形成です。小学校の時から授業で教えられてきた江戸時代の不平等条約の撤廃を起点に、そこからの近代国家の形成の一環としての法整備の流れを具体的に学べたため興味深かったです。そして、法学とは離れますが、以前から考えていた「どうすれば相手に自分の要求を伝えらえるか」という疑問も、質疑応答の時にまずは相手の話を聞くことから始まり、聞いて終わりではなくそこから相手に合った自分の意見を投げかけるとよい回答していただけたので、大げさな表現にはなりますが人生のヒントをいただけた講演でした。

 今回の講演は「法の支配」という言葉をテーマ、そして主軸とすることで話に一貫性を持たせ、それを補足し具体的にするために森山法務副大臣の知識と経験からの情報を入れ込んだものでした。これは、説得力のある話し方の一つのお手本と感じました。なぜなら、テーマを一つに絞ることで、聞き手は何を学ぶことができるのか、また話の中心となるテーマが明確となり、そして話し手も言いたいことを好きなだけ言うという話の逸脱も起こりにくくなり、話しやすく聞きやすい講演とすることができるからです。そして、講演の話し手しか知らない貴重な情報を補足説明として内容に入れ込むことで、講演そのものをおもしろく、貴重なものとし、聞き手に一種の「お得感」のようなものを感じさせることができるからです。一年次の教養教育の授業でも他者との話し方、他者への伝え方を学ぶ機会が少なくはなかったのですが、今回のように生の講演を聞くことでしか学ぶことのできない具体的な話し方の方策もあるので、今回のような法律をテーマとした講演会により参加したいと思うようになりました。

 最後に、講演を聞く学生について思ったことなのですが、学生の中に非常に政治的で法律に深く関わる質問を投げかけた方々がいた反面、「わかりません」で終わってしまう方々もいて、非常に疑問に思いました。果てしない難問というわけでもないのにこう答えるのは一種の思考停止なのではないか、そして講演全体の雰囲気も悪いものとしてしまうと感じました。自分が大勢の人々と話す際は、相手の目線、知識の背景を合わせることで全員が同じテーマ、一つの話題に乗ることができる、思考停止に陥らない話をしていく努力が必要だと思いました。  (法律経済学科2年 S.T

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 今回の講義でよくわかったことは、法の支配は長い歴史を経てようやく確立されつつあるということである。この「長い歴史」を伝えたいがために法務副大臣は、世界の法体系の整備の歴史や日本における法の支配の確立の歴史を、時間をかけて説明してくださったのだと感じた。そしてリーガルマインド:「法の支配」具現化するために必要な思考力を身につけよとのことであったが、常日頃から物事を(法的に)筋道を立てて考え、的確に判断しようと思った。

 しかし私は、歴史の話ではなく、「これから」の話が聞きたかったというのが率直な感想である。だから、アジア各国で法制度整備支援をしていることや法教育の話をもっとたくさんお話ししてほしいと思った。近年国際社会でも「法の支配」の重要性が認識されてきているという話は興味深かった。今後、双方の国の同意が必要で判決に法的拘束力がない国際司法裁判所とは別に、「世界のお巡りさん」のような機関が設置されることを期待したい。

 法務副大臣が強調されていた「国民の力で」勝ち取った憲法という表現が私はとても気に入った。日本の憲法は今も昔も上から押し付ける憲法:欽定憲法で、米、英、仏の憲法は民衆が力を合わせて王などの権力から勝ち取った憲法:民定憲法である。世界史で習った時には大して気にも留めなかったが、今改めて考えてみると国民の法令遵守の意識や関心に大きく関わってくるのではないかと思う。上から押し付けられた憲法では、民衆が勝ち取った憲法よりも「守らねばならぬ」という意識が下がるのではないだろうか。また民衆が勝ち取った歴史を勉強すれば多少なりともナショナリズム的になるかもしれないが、自国の憲法に興味関心を持つようになるのではないだろうか。一方で上からの押し付けでは、たとえその歴史を学んだとしても、「今の私たちには関係ない」と思ってしまい、関心が薄れるのも納得できる。そのため、「法務省としての様々な取り組み」でお話に上がった「法教育」にはこれからもっと力を注いでいただきたい。今回のように大学生だけが対象ではなくもっと年齢の低いうちから法教育を施していくのがよいと思った。

 私は国家公務員志望なので今回の講義は楽しみにしていた。法務行政についてもっと実務的なお話を期待していたが、法の支配の確立のお話も大変ためになったと感じている。また機会があればこのような講義を受けたいと思った。  (法律経済学科2年 N.S)