第6回「狼煙あるいは烽火考 -サイエンスからの想いを馳せて-」(前期)

「狼煙あるいは烽火考 -サイエンスからの想いを馳せて-」要旨

加藤 進

三重に現存する中世城館に併設された狼煙台と思われる遺跡を訪問し、江戸時代に作られた狼煙台との形状比較を行った。また、萬川集海等に記載されている狼煙の材料「オオカミの糞、杉、ヒノキ、艾(蓬も)、松、KNO3ならびに硫黄」を取り上げた。これらの材料から発生する煙についてOPM(オープンパス計測法)によって半定量的な評価を行い、広葉樹や一般の草木・雑木よりも煙の濃度が高いことを明らかにした。さらに、伊賀や松阪に現存する狼煙台を起点にして“カシミール3D”を用いて見晴らし計算と可視化マップを作成し伊賀の鳥瞰図に重ねた。その結果、伊賀市史や嬉野町史に漠然と記載されている“狼煙のネットワーク”についてもその存在を数学的示唆することができた。旧上野測候所の視程データ解析からS12とS22の視程には大きな差が無くメジアンで5~7kmであり、朝(6時)には霧に由来すると思われる妨害で視程が低く0kmにしばしばなることも明らかにした。同所の風向・風速データ(1961~2014)の解析から、伊賀市の最多風向はWあるいはNNEで、最多風速は2m/secであることがわかった。したがって伊賀で大規模な狼煙の実施には厳しい制限もあることが明らかになった。

 

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動画(部分)