第4回「現代スポーツの常識にはない武術の身体運用法」(前期)

現代スポーツの常識にはない武術の身体運用法」要旨

甲野善紀

7月16日、私は三重大学の山田雄司教授の御依頼で、初めて伊賀上野を訪れて、 私の武術の実演と解説を行なった。これは忍術に関連してのお招きであったので、冒頭は私が約半世紀にわたって研究してきた手裏剣術の解説と実演。私の手裏剣術は、幕末に成立した根岸松齢を開祖とする根岸流手裏剣術の四代目、前田 勇師範に教伝を受け、前田師範から「君はこれを元にして甲野流を創れ」とのお勧めをいただき、ずっと私なりに研究してきたものである。

その結果、針形と分類される八角形先太のミサイルのような形をした剣を、直打法という剣を1/4回転以上は回転させない打ち方で、ごく近い半間(90センチ)くらいから6~7間(11~13メートル)の距離までを、同じ重心の剣を同じ掌の位置に持って打つ事が可能になったのである。

今回は、この手裏剣術の演武を皮切りに、柔道の組み手争いなどの際、柔道の常識にはない、こちらが相手に向かって出した手を払おうとした相手が、逆に崩れる技術や、「角成りの手」「旋段の手」といった手指を特殊な形にすることで、上腕を下から上げるのを崩したり、座り込んでいる人を片手で立たせたりといった誰もが覚えやすい技も何人かの方々に体験していただいた。

その他、「ヒモトレ」という、太さ6ミリほどの丸紐を、軽く臍の高さの胴回りや腰、胸などに巻くことで自然と身体のさまざまな部位がつながって強化されることの実演も行ない、最後に真剣(日本刀)は一般的には竹刀よりも重く、変化させにくいと思われているが、実際は竹刀よりも迅速に変化させられる実演も参加者の方々に観ていただいた。

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