「身体で学ぶコツ・身体技術上達法」要旨
ウィリアム・リード
日本語には英語にない表現が沢山あります。 その代表的なものが身体ことばです。 古来から日本人は身体の感覚が優れていました。武道や書道など『 道』と名がつくものはこれを抜きにしては語れません。 身体で学ぶコツとその上達法を体得することで人生の質が高まりま す。実技、写真、ビデオと話を交えながら、1) 身体で学ぶ日本語と日本文化、2) ナンバ術と古武術から学ぶ身体技術上達法、3)道が教えてくれる 身体で学ぶ創意工夫について講演しました。
なぜ心身技術を高める必要があるのか? 現代はパソコンは言うに及ばず、ロボットや人工知能など IT化が促進され人間を超える技術が日々開発される一方で、 身体を使って仕事をしたり、 日常生活の中から身体を使う場面がかなり減ってきています。 座ってばかりの生活は弱体を作り、 心と身体をバラバラに使うことから来る病気やストレスは増えるば かりです。人間を超える技術は日進月歩なのに、 それに伴って生活や人生の質は向上しているでしょうか。
身につく、体得する、目が肥える、耳が痛い、腕を上げる、手本、 肚を据える、膝が笑う、へそを曲げる、息が上がる、 など日本語には身体を使った表現が数多くあります。「手」 がつく言葉だけでも1000以上あるのです。 昔の日本人はボディコンシャスでした。身体で考え、身体で学び、 身体で遊ぶ。 この感覚を取り戻すことで人生の質は格段に良くなります。 身体を巧みに使うことで日本の文化は世界でも独自なものになって います。
以下の4つの書籍を紹介して、 参加者のご協力を得ながら実技を交えて身体を巧みに使う体験をし て頂きました。
『みるみる音が変わる! ヴァイオリン骨体操』矢野龍彦、遠藤記代子著、『すごい! ナンバ歩き』矢野龍彦著、「負けない奥義 柳生新陰流宗家が教える最強の心身術」柳生耕一平厳信著、 古武術『仙骨操法』のススメ 速く、強く、美しく動ける!赤羽根龍夫著。
そもそもウィリアム・リードは、なぜ日本と出会ったのか? きっかけはいじめでした。 自分の心身を自分で守れるようになりたい! それが合氣道と出会うきっかけになったのです。 1972年に早稲田大学へ交換留学生として来日。以来45年、 日本の文化を愛してやまない私は、現在、 山梨学院大学国際リベラルアーツ学部(https://www. icla.ygu.ac.jp/en/) で合氣道をはじめ書道や日本文化を教えています。日本を知る、 日本を学ぶ、 日本を伝えるをテーマにした日本研究プログラムのディレクターで もあります。クロアチア、フランス、ウズベキスタン、ザンビア、 オランダ、香港、ドイツ、ノルウェー、 など21カ国の留学生が日本の魅力に魅了され自分の国と日本を結 ぶ架け橋になってくれたら嬉しく思います。
日本の文化を広く伝える活動の一環としてこの他に、山梨放送「 てててTV」にレギュラーコメンテーターとして毎週出演。「 青い目のサムライ ウィリアム・リード和の心を知る」 というコーナーを担当して山梨の文化を伝えています。またNHK World Journeys in Japan のリポーターとして国内外に日本文化の語り部として活躍していま す。特に伊賀で忍者に出会うNHKの番組NHK World Iga Ninja Forest のドキュメンタリーが海外でも好評を博し、 全日空の国際便でも紹介され、 多くの外国人に伊賀忍者の魅力を紹介しました。( https://vimeo.com/80223199 )
また日本手創り甲冑指導員協会を設立、 既に手創り甲冑指導員が国内外で活躍しています。 留学生と共に山梨はもとより他県の武者行列祭りにも参加して「 文武両道」の教育の普及と交流を深めています。
4年前に収録された Iga Ninja Forest と今回の講演を通じて三重県伊賀市との懐かしくも深い縁を感じる 機会となりました。 関係者の皆様へ心より感謝と御礼を申し上げます。