人文学部
人文社会科学研究科

研究

第2回「隠し武具の世界」(後期)

「隠し武具の世界」要旨

近藤好和

隠し武具とは、甲・冑・弓箭・刀剣・銃・砲等の正当武具に対し、非正当武具を総称した造語である。その特徴は小型・軽量で隠蔽性や偽装性を有するが、種類は多種多様で使用者の創意工夫や臨機応変のものである。そもそも日常具すべてが隠し武具になり得る。逆に隠し武具のなかには多くの創作物を含む。そうした隠し武具個々の実態を概観した。隠し武具は一般的には忍者が使用するものというが、『万川集海』等の忍者関係史料には隠し武具や正当武具に対する記載はなく、正当武具・隠し武具ともに忍者特有のものなどはない。特に忍者の武具といえば手裏剣だが、そのうち複数方向に棘のある方手裏剣(と命名)は、使用時に自身の手を傷つけ、実用品とは見なし難い。そもそも手裏剣等の隠し武具の製作年代はいずれも不明で、そのためには材料鉄の分析が必要であると説いた。また、握鉄砲・仕込鉄砲というものがある。これは日本では久米通賢(17801841)等が開発した雷汞という爆発物質の存在を前提とし、握鉄砲・仕込鉄砲も通賢が雷汞使用の一環として開発した新式火器で、忍者の隠し武具とはまったく無関係であることを説いた。

2017年度後期第2回忍者・忍術学講座 (8).JPG

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