人文学部
人文社会科学研究科

研究

第5回「忍者の呼吸法」(後期)

「忍者の呼吸法」要旨

小森照久

ストレスとは内外からの刺激に対する適応過程であり、生きるために必須であるが、過剰、あるいは持続した反応が問題になる。エネルギーに余裕があれば気分転換、余裕がなければ休養が有効な対処である。敵中の忍者はいずれも行うことが難しい。しかし、忍者は概して長生きであった。その秘密の1つが呼吸法ではないかと考えられる。

忍者の呼吸法では、二重息吹(ふたえいぶき)、逆腹式呼吸、息長(おきなが)が代表的であり、二重息吹は持久力を高める目的で使われる。ストレス対処では息長が重要と思われ、詳しく検討した。息長は呼気が1分にもおよぶ遅い呼吸である。息長を行うと、脳波ではリラックスと同時に集中の状態を示した。心電図の解析では、副交感神経系の働きが高まり、交感神経系の働きが抑制され、リラックスを示した。

さらに、ファンクショナル磁気共鳴画像では、息長によって扁桃体の抑制がみられた。扁桃体は感覚情報によって不安を惹起し、ストレス反応において重要であることがわかっている。息長の効果は扁桃体を介している可能性が示された。

息長を一般人が行うことは困難であるが、呼気を長めにすることによってリラックス効果がみられることから、今後応用を目指したい。

2018年度後期第5回忍者・忍術学講座 (10).JPG

動画(部分)

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