人文学部
人文社会科学研究科

研究

第1回「信州松本藩の忍者」(前期)

「信州松本藩の忍者」要旨

山田雄司

松本藩主戸田氏に仕えた忍び芥川氏はもと甲賀出身であり、松本城管理事務所蔵芥川家文書は忍びに関する文書が一括して保存されている極めて重要な文書群である。その中の「甲賀隠術極秘」には、先祖が大凧に乗って上から火を落として城を焼き払ったという由緒を語り、忍術は奇怪な小芸ではなく、「未萌未発を察する」ための術であることを説いている。また、その道に入ってからは欲に流されることなく、己に厳しくし、「百鍛千練の功」を積む必要があるとする。
そして、「修行中心掛」には、周りの城や山川や道路などの地理的状況、法や風俗などを把握し、諸所に知り合いをつくって常に情報を得ておく必要を説いている。
その他「道中日記」「諸事記録」といった記録が残っており、そこでは、開港した箱館の状況や、生麦事件後の品川から横浜にかけての状況を探索した様子が記されている。内陸の信濃にあっても幕末になって外国との関係についての情報収集が重要であったことがわかる。
また、薬の調整方法を記したものや呪術的秘伝書、忍びに使う道具の絵、入門する際の誓約や、教えをすべて伝授した際に与えられる免状も残されていて大変興味深い。

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動画(部分) 

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