人文学部
人文社会科学研究科

研究

第2回「忍術は霊術である-近代日本の霊術運動と忍術-」(後期)

忍術は霊術である-近代日本の霊術運動と忍術-」要旨

一柳廣孝

明治末期から昭和初期にかけて、日本では霊術が流行した。霊術とは、健康法、民間療法、精神療法の総称である。暗示、気合、お手当、霊動(身体の自動運動)などによる奇跡的な治病、精神力の効果を証明するための見世物的な危険術、超心理現象なども霊術家(精神療法家)のレパートリーだった。彼らは個々の術を称揚宣伝する団体を組織化し、機関誌を発行して会員の募集に努めた。『破邪顕正 霊術と霊術家』(1928(昭和3)、二松堂書店)によれば、昭和初期の段階で、霊術家は3万人を数えたという。

この霊術運動に、忍術のイメージは多大な役割を担っていた。本講義では、田中守平の太霊道、渡辺藤交の日本心霊学会といった霊術団体の活動を紹介しつつ霊術の歴史を辿り、あわせて伊藤銀月『忍術の極意』(大正6・5、武侠世界社)や、藤田西湖「生神様脱走記」(藤田『忍術秘録』所収、昭和11・8、千代田書院。復刻版、1991・3、壮神社)などの忍術に関する記述を検討することで、明治以降の催眠術、千里眼、新宗教の流行といった社会現象と連動しつつ、霊術運動のなかで編成されていった、新たな忍術イメージについて検討した。

2019年度後期第2回忍者・忍術学講座 (2).JPG

動画(部分)

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