人文学部
人文社会科学研究科

研究

第1回「忍者の天気予報」(後期)

「忍者の天気予報」要旨

岡安里美

 忍者は忍び込むときに、天気や風の状況を事前に把握しようとしました。『万川集海』巻第十七「天時 天文篇」には、風雨を占う十六ヶ条として、風雨を知ることの重要性が説かれていて、「風雨を知ることは、忍術の要であり、その理由は、陰忍は風雨の夜に行動するのを優れた作略としているからである。また、火を放つときには、風雨の状況をしっかり調べて、状況をしっかり把握しなければならない」と記されています。
 天気をみる術は観天望気術と呼ばれ、忍術書『万川集海』や『正忍記』に具体的な方法が記されています。その中には現代の気象学からして、あてはまるものもあれば、あてはまらないものもあります。「太陽に暈がかかれば雨。月の暈は風」という記述がありますが、暈ができるのは巻層雲がかかっているときで、小さな氷粒が集まってできた薄雲に太陽光が屈折・反射することで見えるので、その後に雨となる確率は高いです。しかし、風が吹くかどうかはわかりません。
 その他、忍者の知恵の中には今ではあまり言われない言い伝えなどもあり、大変興味深いです。まとまって気象に関する言い伝えが残っていない中、忍術書に記述は貴重なものと言えると思います。

忍者の天気予報.jpg

動画

Page top