人文学部
人文社会科学研究科

研究

「忍者像の形成と変遷」(2015年7月25日)

「忍者像の形成と変遷」要旨

吉丸雄哉

 

歴史上の「忍び」は、日本の14世紀から17世紀前半に、平時の諜報活動、戦争時の偵察・破壊活動で活躍しますが、平和な江戸時代に入ると、人目につかなくなり、事実とは異なる虚像の「忍者」が小説や芸能に登場するようになります。江戸時代の「忍者」の話は「忍術をつかって大事なものを盗んで戻ってくる」パターンが最も多いです。手裏剣や忍者装束は演劇より18世紀半ば以降に定着していったと思われます。「忍術をつかってお家の乗っ取りや天下転覆をはかる」悪人像は魔法的な忍術を使う点でのちの忍者作品に影響を与えます。「史実どおりの「忍び」の活動を行う」話は少ないです。江戸時代までは、忍者は後ろ暗い怪しい存在といった負のイメージが強かったのですが、大正以降、正義の忍者猿飛佐助の話が立川文庫などによって広まると正義の忍者も忍者像に加わり正義のヒーローとしての忍者が小説・演劇・映画・漫画・ゲームに続々登場するようになります。

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