人文学部
人文社会科学研究科

研究

第5回「忍者と火術・火器」(後期)

忍者と火術・火器

荒木利芳

忍術の 3大秘伝書の一つである萬川集海には「世間では、火器を忍術の要道の根源であるとしている」の記述がある。

火器の用途としては火薬を使った爆薬による敵への攻撃や音や煙による威嚇、篝火や松明などによる照明や放火、狼煙などの合図や通信など様々なものに使われている。火器類233種のうち、破壊用と して111種が掲載されているが、代表的なものとして手榴弾である宝録火箭、煙玉の鳥の子、地雷の埋火、火炎放射器の取火、敵の陣地の放火用として飛火矢などがある。その他、雨や風の日も消えない松明など106種が掲載されており、忍者にとっ て夜の暗闇を照らす照明がいかに重要であったかが分かる。また遠くへ知らせる狼煙が13種類、眠り薬など薬物が3種類述べられている。これら火器には原料として鉱物が約40種、植物が約135種、 動物(糞など)が約26種など身近にある200種以上の材料が使用されている。

このように忍者は火器、特に松明などの照明器具に対して様々な工夫をほどこしており、このことは現在の日本人の物造りへも通じるものが感じられる。そして、情報収集のプロであった忍者は、当時の最先端の技術や知識を身につけ た優れた技能集団だったのではないかと思われる。

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動画(部分)

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