研究
第6回「忍者修行入門」(後期)
忍者修行入門
川上仁一
何事も入門時に学ぶ事柄が奥義に通じているが、忍術もまた然り、忍者修行の基礎を積んでいけば、自ずと極意に到達すると云える。
忍者の修行の多くは、摩訶不思議の事柄でなく、各家々での生活全般の中で工夫され、世代を重ねて伝えられたものである。疑念を持たず、貪欲に物事を吸収する幼時より、日常的に行なうことが肝要とされた。守・破・離の段階を踏みながら、功を焦らず徐々に心身を練っていくことが大切とされている。現代生活にそのまま活用出来る事は少ないかもしれないが、先人が血と汗で習得してきた修行は、堪忍の心、即ち「和」の心を養う効果的な方法である。科学が進歩し、複雑で多様化した現代に於いて、往時の忍術の殆どは役立たないだろうが、忍者修行で到達を目指す心身一如の境地は、日常活動の中で益をもたらせてくれるだろう。