人文学部
人文社会科学研究科

研究

第6回「伝承の忍術道具と用法」(後期)

伝承の忍術道具と用法」要旨

川上仁一

 忍術に使用の道具は、秘伝書では忍具や忍器、陰具、隠具などと呼称され、その種類は多岐にわたる。忍者専用の物、農工具、諸職人道具からの転用、日用雑貨、武具、薬品が大凡の道具である。忍術書「万川集海」では用途により、開器、水器、登器、火器に区分して詳述し、薬品や武具類の解説は殆ど無いが、他にも伝えられる種類は多数存在した。また、忍びの任務に出る際の準備の道具類や、衣装、製作法、所持法も細かく伝えられた。盗賊道具と見紛う物も多く、薬品には毒薬、目潰しの類も、治療薬以外に用いられたようである。忍者の使用に疑義の有る手裏剣も、極めて僅かではあるが秘伝書に記載されており興味深い。

 「正忍記」では六具として、常用の六種の道具を記するが、伝承では、忍入用道具、夜討持道具として十種類位を挙げている。いずれの道具も、要点は目立たなく、製作に容易であり、携行の便を考慮することが肝要とされる。極意は一器万用として、一つを多用途に用いるとするのは、道具使用の要点である。

 忍術道具は、荒唐無稽な物も存在するが、保安や生存技術として現代にも活用出来る可能性ある、忍者の知恵の一つである。

IMG_6580.JPG

動画(部分)

Page top