研究
第4回「ブルース・リーとNinja映画」(後期)
「ブルース・リーとNinja映画」要旨
山田雄司
香港出身の武術家でありアクションスターであるブルース・リーが主役を演じたハリウッド映画「Enter the Dragon」(1973)が世界的に大ヒットとし、各方面に大きな影響を与えた。これを受けて、ハリウッド映画「Enter the Ninja」(1981)が制作され、日本から単身渡米し、ブルース・リーにあこがれていた武術家ショー・コスギがNinja役をつとめた。アメリカで制作されたNinja映画では、アメリカで受け入れられるために、ヒーローとして現代に登場し、ヌンチャクをはじめ数多くの武器を使って活躍するNinjaが形づくられた。
この映画が大ヒットしたことにより、ショー・コスギ主演のNinja映画が相次いで制作され、世界にNinjaが広まることとなった。ブルース・リーおよびショーコスギの映画が大ヒットした背景には、もちろん両人の卓越した技量と映画の内容といったことがあるが、それとともに、それぞれアメリカにおいて中国・日本に対する注目が集まった時機と関係が深い。
ブルース・リーの思想と忍者の思想、および古代中国の思想には共通点があり、型にとらわれず平和を愛するあり方は、国境・人種を越えて現在でも全世界で愛されている。