研究
第1回「謎の忍術家は実在した! -近現代の知られざる忍術家たち-」(前期)
「謎の忍術家は実在した!-近現代の知られざる忍術家たち-」要旨
酒井裕太
忍者、忍術の歴史において、明治~昭和初期に関しての調査は、「研究史」という側面が大きい。催眠術の研究がさかんに行われたと同時に、忍術に関して言及する書籍も多く出版されていた。当時忍術を研究していた人物には、伊藤銀月や藤田西湖といった、研究と同時に科学的解明を求めた実践者も存在している。本講座ではそういった研究者や実践者の中でも、久保田久徳や宮岡天外といった、あまり取り上げられることのない人物に焦点を当てている。
また、当時の忍術研究書には典拠不明の術や人物が取り上げられているが、こういった人物や術ははあくまでもノンフィクションの存在として取り上げた。しかしながら、実際のところ明治~昭和初期にかけての研究書にはフィクションとの混同と思しき考察が確認され、研究書としては非常に複雑なものとなっている。
その他、武道家などが回想や伝聞で記憶・記録している忍術もいくつか存在しており、忍者、忍術の研究が進歩している昨今においては貴重な記録である。そういった記録が忍者、忍術の研究にとって今後どのような存在になるのか、現時点では未知ではあるが、無価値ではない。