人文学部
人文社会科学研究科

研究

第4回「藤堂藩伊賀者貝野家文書の研究」(前期)

藤堂藩伊賀者貝野家文書の研究」要旨

高尾善希

この講座では、伊賀国伊賀郡才良村(ざいりょうむら)の貝野家文書の内容を紹介した。同家文書は、三重大学国際忍者研究センター、および、三重大学大学院人文社会科学研究科地域文化論専攻の忍者学コースの大学院生とともに調査を実施した。貝野家は代々藤堂藩伊賀者を拝命し続けた家であり、その歴史は、慶長期から幕末・明治期にまで及ぶ。同藩の伊賀者は家が定まらず出入りが頻繁であり、貝野家のように途切れることなく勤め続けた家は珍しい。いっぽう、貝野家の家系を調べてみると、伊賀国山田郡喰代村(ほうじろむら)などの忍者としての由緒の家、豊味(見)家・田中家・長(永)井家・百地家などと家系が結びついていることがわかる。貝野家には由緒書類が複数残っている。とりわけ「伊賀忍流儀伝来由緒」という書類を藩に提出しており、伊賀国全体の忍者の由緒と貝野家の由緒とを関連付けて述べている。このように、職歴といい、家系といい、そして、由緒の古さといい、貝野家は藤堂藩伊賀者の中において特別な家であったのではないか、と考えられる。今後は、藤堂藩伊賀者の中での家の個別性の検討、あるいは、他藩などとの比較において、藤堂藩伊賀者の理解を深めていきたい。

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