人文学部
人文社会科学研究科

研究

第5回「甲賀忍者の実相 -近年の調査成果から-」(後期)

「甲賀忍者の実相 -近年の調査成果から-」要旨

伊藤誠之

本発表は、甲賀市による江戸時代の甲賀忍者関連の史料調査の成果と、今後の展望についての報告である。近年の甲賀市の忍者調査のきっかけとなった史料群を伝えた尾張藩甲賀者の渡辺俊経家は、忍びの家としての性格を強く持ち、藩内における忍びを取り巻く状況についても敏感であった。これと好対照をみせる岸和田藩甲賀者の上野家は、忍びではなく軍団を構成する鉄炮隊としての性格を強く持っていた。この両者も含め「甲賀者」の来歴や性格は様々だが、基本的には在村のままの仕官を志向するという共通点を持ち、居住村との軋轢を生みやすい存在でもあった。しかし、江戸時代後期には忍術を甲賀の総社油日神社の祭祀に組み込もうとする動きも確認できるため、甲賀者や忍術の実態、および彼らと地域社会との関係については、史料に基づいたさらなる事例の蓄積と検討が必要となる。今後、各地の関係者との交流を深めながら、調査・研究を進めていくこととしたい。

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