「米国議会図書館所蔵史料からわかった忍者」要旨
山田雄司
米国議会図書館には、旧陸海軍所蔵の史料が多数所蔵されている。それらは、GHQが日本の戦争責任を明らかにするという目的で戦後すぐ接収したもので、その中には兵法書も含まれ、すでに日本には現存していない史料もいくつかあって大変貴重である。
窪田清音『武教全書正解』巻十二用間には、忍びにふさわしい人物として、外見は魯鈍であるが内実は弁才知恵があることが大切で、艱難辛苦に耐え、心身健康である必要があることが説かれている。
また、暗号の作り方として、漢字の部首やつくりだけで文書をつくる方法や、文の中に関係ない文字を混ぜる方法などが紹介されている。密書の方法としては、文書の行間にあぶり出しや水出しで文字を書いて送る方法や、文書を横3つに切って別々の人物に持たせて送る方法が紹介されている。
『軍敗要目集』巻六攻城には、山城を攻めるにあたって、忍びが地形をよく調べて城主が思いもよらぬ所から不意を突くことが寛容だと説かれている。
『智謀抜萃』は中国のさまざまな兵書をもとにまとめられた写本だが、そこには「人散竹筒形」として竹筒にいれたマキビシを撒く人物が描かれていて、この人物は日本の忍びを念頭に書かれたものだと考えられる。