研究
第6回「幕末の改革組合村と「探索御用」」(前期)
「幕末の改革組合村と「探索御用」」要旨
藤井明広
本講座では、幕末期の房総地域(現千葉県域)における改革組合村大惣代池田利左衛門の活動を事例として、彼らによる「探索御用」(犯罪などの内偵捜査)の実態について扱った。
「改革組合村」とは、関東地域の治安維持を担う関東取締出役の活動を補完するとともに、村々の負担軽減を目的として編成された村々の連合のことである。この改革組合村の代表である「大惣代」は、「道案内」と呼ばれる手下を用いて隠密裏に犯罪情報などの収集を行った。具体的に本講座では、①支配関係が錯綜し、無宿・博徒の横行が社会問題となっていた関東地域では、関東取締出役を設置するとともに、改革組合村を編成し治安取締にあたったこと、②本講座の主人公である「大惣代池田利左衛門」は、複数の改革組合村を統括するような役割を担い、支配関係は勿論、国・郡をも超えて「探索御用」を行ったこと、③「探索御用」の対象は主に無宿や博徒など社会秩序から逸脱するような存在の情報であり、慶応年間には幕府政策と関わりをもつような隠密の御用をも担ったこと、を紹介した。