人文学部
人文社会科学研究科

研究

第6回「忍者の通信手段2 -烽火からあぶり出し-」(前期)

「忍者の通信手段2 -烽火からあぶり出し-」要旨

加藤 進

 烽火の可視距離が10~15kmであること、烽火は背景によって確認が容易に成ったり難しいことを実験でデモした。また、発煙筒を煙源として、煙の上昇していく姿をドローンでとらえた動画を示し、周囲の雑木が煙突的な役目を示すことを提示した。炎色反応をLiとCuの炎色反応を実験し、煙にこの方法での着色は困難なことに触れた。烽火は町おこし・村おこし的な側面があり、各地の烽火イベントの紹介を行った。

 あぶり出しと水出しについては、文献的根拠を明示し、材料(和紙、インクの作り方)を明らかにした。あぶり出しは①酸性のインク、②高濃度のカリウム(K)を含むインク、③硫酸根を含むインク、④糖分や有機物を多量に含むインクの単独もしくは組み合わせを利用すると可能であった。炙り出しの保存性は良く1か月の保存後であぶり出しは可能であった。実際に江戸時代の手紙の余白部分にあぶり出しを仕込むことは可能と思われた。

 一方、水出し(甲賀流武術秘伝)は、乾燥した大豆を1昼夜水に浸した搾り汁をインクし、和紙(手すき)から可能であった。水出しも良好な保存性を示した。水出しインクは親水コロイドであり、大豆インクの粒子径と使用する和紙のボイド(空隙)と関係が重要であった。最後に江戸時代の手紙を和紙に描き、行間に水出しを仕込んだところ明瞭に文字が確認できた。

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動画

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