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- 2024年度
- 第1回「忍術と柔術のクロスロード 江戸・明治期における柔術の展開要因を考える 〜忍術との組織構成の違いに着目して〜」(後期)
第1回「忍術と柔術のクロスロード 江戸・明治期における柔術の展開要因を考える 〜忍術との組織構成の違いに着目して〜」(後期)
「忍術と柔術のクロスロード 江戸・明治期における柔術の展開要因を考える 〜忍術との組織構成の違いに着目して〜」要旨
久保山和彦
本講演では、江戸・明治期において「柔術」がどのように展開して、今日の柔道に連続してしていたのかを柔術史資料を基にした研究の成果を講演した。
講演は「講道館柔道を興した嘉納治五郎」をキーワードして、江戸期から明治期にかけて柔術のわざや技術が変容したことの理解を深めることにより、「忍術」について詳しい聴講者と共に、柔術と忍術の似ているところや違いを一緒に考えることによって、新しい「忍術文化考」を試行いたしました。
明治期の武術が衰退し始めていた頃、登場した嘉納治五郎は庶民出身の教育者でしたが、武士階級に限定されていた「柔術」の二流(起倒流・天神真楊流)を修行しているうちに「柔術界に人脈を広げて」流派の系譜構造の中に近代的な知識を導入する役割を果たして、学校の教材や庶民の身体活動(運動)に馴染むように「わざや技術」を再編成する中心に位置することになり、江戸期以来の武術は、目的別に身体文化の構築に繋がっていきました。
嘉納が誕生させた柔道は「体育・勝負・修身」などの「目的」を付与されたことで、学校の体育の教材として採用され、普及していったのです。
忍術のわざや技術は、どのような社会的な影響を受け、またどのような人物の登場により現代に息づいているのでしょうか。