人文学部
人文社会科学研究科

研究

第1回「忍者の身体」

「忍者の身体」要旨

川上仁一

一般の方々の忍者像は、秘術を駆使する超人的な身体能力を有する者として想像されていることが多い。
しかし、如何に幼少より弛まぬ鍛錬を続けても、人間には限界があり、人知を超えた能力を体現することは不可能である。

忍術は、長い年月の中で編まれた軍用の技術であり、忍者として活動するためには、相応の厳しい修行により術技を身に付ける必要がある。
忍者の条件は、身体の敏捷と頭脳の明晰、忍耐心であり、更に正心を持ち、何事にも動じない不動心として「忍の心」を養わねばならない。
「忍」は耐えると共に、残忍の意味合いも含み、過酷な鍛錬により心身不二となり、諜報、謀略、奇襲などの活動を行うのである。
鍛錬による身体能力の極限化や、精神作用の活用、伝統に裏付けされた術技など、時には見るものをして、人間業でない奇異の術を操る者に映ったことがあったかも知れない。(法術などの奇術を、人心操縦法として活用する場合もあっただろう。)

古来の修行方法には様々なものがあり、知識と実践の術技を鍛錬により一体化させていくのである。
術技の理は、重心の移動や体幹の安定、気の作用、瞬発力と持久力の運用、生理・心理の活用、森羅万象の利用などであり、第六感を得るべく構成される。
ここには、修験道や密教などの行法や哲理が取込まれている。
しかし、口伝を受け秘伝書を読むのみでは完全に修得できず、絶え間ない修行により体得し、「忍者の身体」を構築していくのである。

伝承される、呼吸法や心身操作の様々な行法は、現代に適合したものを取捨選択して実践すれば、現代生活に益するものも多いであろうと考えている

 

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