第3回「正忍記著者藤一水・名取三十郎正澄について」(前期)

「正忍記著者藤一水・名取三十郎正澄について」要旨

山本寿法

 

数ある忍術伝書の中でも、内容的な充実度の面から古来より研究の対象として取り上げられることの多かった「正忍記」でありますが、それを書いた人物「名取三十郎正澄(籐一水:名取正武)」については未だにその詳細を知られていないのが現実です。平成24年4月に名取家の菩提寺《和歌山市吹上:恵運寺》が発見されて以降、今日までに明かされた名取家に関わる様々な事柄とそれを取り巻く当時の状況を、発見の経緯と併せて”南紀徳川史”および”紀伊国名所図会”等の記述を中心に解説しました。

そして予てより籐一水子正武の号から類推されていた藤林家縁故説に対しては、”正忍記”青竜軒本(国立国会図書館蔵)ならびに”紀州家中系譜並に親類書き上げ(以下親類書き上げ)”に加え、菩提寺にのみ知り得る資料をもとに一石を投じました。

親類書き上げの精査からは、これまで知られていなかった正澄実子の存在が浮かび上がり、紀州徳川家との関わりについて事実関係を踏まえた上で、正澄実子を含めた名取一族の生涯を推察する楽しみを提案させていただきました。歴史探究逸楽の一助となれば幸いです。


P1020643.JPG

動画(部分)